「幻の藤原ノート−−『ゴッチ教室』の神髄」を読む。

先日、某所で教えていただいた藤原喜明組長の新著「幻の藤原ノート−−『ゴッチ教室』の神髄」を入手した。


http://shop.kodansha.jp/bc2_bc/search_view.jsp?b=2158752


今から23年ほど前に読んだ藤原さんの技術書「藤原喜明のスーパーテクニック」を思い出させ、非常に懐かしい。


ただ・・・技術的には正直、今年出た「青木真也総合格闘技入門」に比べると新旧の差が歴然と出てしまう。


思うに藤原さんは極めのところだけを取り出して書いておられるからなのだな。だから極めに持っていくまでの展開をどうしたらいいかとか、その技を逆に仕掛けられた時はどうカウンターしたらいいかとかの部分になるとやや心許ないことになってしまうのだ。


さらに言えば・・・これはプロレスにおけるサブミッションの位置に関わる問題なのだけど。
思うにプロレスにおけるサブミッションは「相手がガチで来た場合に仕掛けるもの」もしくは「プロモーターの命令でいきなり仕掛けるもの」であり、「最初から競技として設定されたもの」ではなかったのではないか。
だからこそ、極めの部分だけを取り出して教えることになる。
競技としてそれを確立しようとすれば、どうしたってアマレスや柔道の崩しを学んで、それにプロレス流サブミッションをはめ込むことになってしまうのではないか。
U系の苦悩はそこにもあったのであって。


藤原さんのこの技術書はそういう歴史の一過程として読むことが出来る。
また注目すべきは82ページに掲載されているイワン・ゴメスとの練習風景。
何とここでゴメスは藤原さんに下からの腕十字を仕掛けているのだ。
藤原さんがこの当時(75年〜76年?)すでに下からの腕十字を初めとする柔術流のサブミッションを吸収していたとすれば非常に興味深いものがある。



ともあれ80年代のサブミッションマスターであった藤原さんのこの書と21世紀のサブミッションマスター青木真也の技術書は並べて読まれるべきものかもしれない。


そして、僕がもう一人技術書を書いて欲しいのが・・・まさに90年代のサブミッションマスター桜庭和志である。



80年代の藤原喜明
90年代の桜庭和志
そして21世紀の青木真也


彼らの技術書を並べて読んだとき、初めて僕らはプロレスから総合格闘技へのサブミッションの変遷を目のあたりに出来るだろう。



妄言多謝。ではではまた。