栗本薫(中島梓)氏のあの発言に見るデモーニッシュなもの。

まあ未だに栗本さんの訃報に混乱し続けている自分がいるわけですが。


栗本さんは評論家・中島梓として、北朝鮮拉致被害者へのとんでもない発言をブログでしてしまったことがあって。


http://sonzai.org/2009/buffet.htm

http://kukkuri.jpn.org/kakoboyaki/boyaki0310.html


>44歳で生存が認められた蓮池薫さん、大学が「復学を認めた」そうですけれども、いま日本に帰って44歳で大学生に戻っても、もう、蓮池さんには「あたりまえの日本の平凡な大学生」としての青春は戻ってこない、それは不当に奪われたのですが、そのかわりに蓮池さんは「拉致された人」としてのたぐいまれな悲劇的な運命を 20年以上も生きてくることができたわけで、それは「平凡に大学を卒業して平凡に就職して平凡なサラリーマン」になることにくらべてそんなに悲劇的なことでしょうか。


>拉致された人々は、その場で銃殺されたのではないかぎり、たとえ数年でも生きていたのであるかぎり『人生のすべてを奪いとられた』わけではない


>凡庸なありきたりの人生のコースを歩むよりも多くのものを得ることができたはずだと思う



まあホント、バカなことを言ったもんだと思うわけですが(苦笑)。


当時は「アホか栗本さん、やめてくれや」と思い、その後ブログが炎上したことにも、「まあしょうがねえなあ、自業自得だわ」とか思ったわけですが(スミマセンね^^;)。


だが99パーセントまで栗本さんの発言をアホだと思い否定もしながらも、残り1パーセントの部分で、


「・・・分かるよ。栗本さん」


と言ってしまいそうな自分がいるんで困るわけです(苦笑)。



だってそうじゃねえか!
こんな生ぬるい日常なんかぶち壊してしまいたいと思わねえか!?



そんな感覚を0・1パーセントでも持ってた人間がグイン・サーガを初めとする彼女の作品にどうしようもなく惹かれたんだろうし。



彼女のその発言はどうしようもなく愚劣でおろかしいものだ。
しかしその日常を侮蔑し、物語の面白さダイナミックさのためならば悪魔にでも魂を売るというそういうデモーニッシュ(悪魔的)なものをもっていたからこそ、彼女はグインや魔界水滸伝のような作品が描けたのだろうと僕は思う。



全くデモーニッシュなものを持たぬ無菌培養のミステリやJポップを読み聴き育った人間は、この国をさぞや平和な羊の牧場のような国にしてくれるだろうぜ。へっ。



僕は栗本薫氏の死を心から悼む。
そっちに行くまでにグイン完成させといて下さいよ、栗本さん。
(何かあっちでも待たされそうな気が・・・^^;)



ではでは、また。