青木真也対川尻達也は切ない。

青木が勝っても切ない。


川尻が勝っても切ない。



壮絶な決着となっても、
凡戦となったとしても、
どちらにしても切ないのだ。


川尻にしてみれば、そのステップとしての魔裟斗戦を承諾してでも
実現させたい一戦であった。


青木にしてみれば、その川尻をはぐらかして
「検討します!」
等と言ってはみたが、その後に降って湧いたSRCとの対抗戦によって、
晦日実現への道が絶たれてしまった。


そのフラストレーションが、
廣田へのあの蛮行となって現れたのだ。
もちろん誉められたことではない。
しかし、
あの時青木が中指を突き立てたのは廣田に対してでなく、
その裏側にいる者たちに対してだったのだ。



今回の川尻戦に対し、青木はゴン格でこう語っている。


「こんな覚悟を持って戦うのは川尻戦で最後にしようと思う。もしかしたら、川尻選手と試合をした後で、僕の格闘技に対する向き合い方が変わるかもしれない。そのくらいの試合になる」


これほどの覚悟を持った一戦をこのタイミングで行わなければならない、
他にキラーカードを持たないDREAMの要請によって。



その切なさを味わいに、僕はさいたまスーパーアリーナへ行く。



願わくば、僕のこの切なさを吹き飛ばすほどの決着が待ち構えていますように。


ではではまた。