野沢那智さんのこと。
昨日の夕方、この訃報に遭って頭が真っ白になった・・・。
■アラン・ドロンさん吹き替え、野沢那智さん死去
(読売新聞 - 10月30日 18:56)
声優・野沢那智氏(ご本人は俳優と呼ばれたがっていたらしいが)。
アラン・ドロン、アル・パチーノ、ダステイン・ホフマンの吹き替え。
(榊原郁恵の曲で「アル・パチーノ+アラン・ドロン<あなた」というのがあるが、60・70年代の二大伊達男を両方吹き替えていたのが野沢氏だったのだ)
『悟空の大冒険』での三蔵法師役。
『どろろ』での百鬼丸。
『新・エースをねらえ!』での宗方仁。
『ベルサイユのばら』でのフェルゼン。
『Dr.スランプ』のマシリト。
『ガラスの仮面』の速水真澄。
『釣りキチ三平』での魚紳さん。
『スター・ウオーズ』のC3−PO。
そしてやはり、
『スペースコブラ』。
コミカルから伊達男まで、すべての役を見事に演じ切るのが野沢那智氏であった。
しかし何より僕にとっては、TBSラジオ「パック・イン・ミュージック」の金曜(木曜深夜)を白石冬美女史(怪物くん、「機動戦士ガンダム」ミライ・ヤシマ、パタリロなどの役で有名)とともに担当したパーソナリテイが野沢那智氏であったのである。
日本初の深夜放送(オールナイト・ニッポンが67年9月スタート、パックインが8月スタートで一か月早い)パックインミュージックの金曜日をその最初から終焉(82年7月)まで務めたのが野沢・白石のナッチャコパックであったのだ。
(ちなみに裏番組に桑田佳祐のオールナイトがあったのはつらかったが、サザンがベストテンに出たときは「もうすでに桑田には会った」とナッチャコを聴くことにしてました・笑。ナッチャコの終了が決まった時から最終回までの3か月はむろんナッチャコ一筋)。
僕が聴いていたのは中一夏から高三夏までの正味5年間だったが、その間に受けた影響というのは多大なものであった。
5年間の思い出を、28年たった今も後生大事に抱えて生きている。
中高時代に会ったどの教師よりも多大な影響を僕は野沢氏から受けたのだ。
その終了間際の映像がこれ。
http://www.youtube.com/watch?v=b0MNC8PPK3I
初めて見て驚いたのだが、全身を動かしながらしゃべりまくっているのだ。
氏が自分を「俳優」として見てもらいたがっていたことがよく分かる。
演じるのは声だけでなく、全身で演じていたのだ。
劇団「薔薇座」を率い、古川登志夫(「うる星やつら」諸星あたる役)や故・鈴置洋孝(「ガンダム」ブライト・ノア役)を育て上げた氏の面目躍如といえるだろう。
思うに、野沢氏が俳優としてよりも声優として有名たらしめてしまったのはひとえに「声が良すぎた」ためなのだろう。
ルックスからいえば立派にダンデイといっていい風貌なのだが。
しかしその声の良さゆえに、一流の俳優でなく超一流の声優として記憶されるにいたった。
氏にとっては、苦笑するしかなかったかもしれないが。
野沢那智氏の死によって失われたものの大きさについてはこう考えてみられればいいだろう。
90年代の山田康雄の死。
00年代の広川太一郎の死。
そして2010年の野沢那智の死。
我々は三大伊達男といっていい声優たちをすでに失ったのだ。
僕は野沢那智氏の死を心から悼む。
昨日からずっと、僕の頭の中にはナッチャコパック・エンデイングテーマのこの曲が鳴り響いている。
「シバの女王」。
http://www.youtube.com/watch?v=oOAVjZOW4Hc&feature=related
野沢那智氏のご冥福を心からお祈りいたします。
ではではまた。