ウエイン町山にボコボコにされる唐沢俊一。

唐沢俊一といえば「トンデモ本の世界」やテレビ番組「トリビアの泉」の監修で活躍した一時期の僕のヒーローであった人だが。

その唐沢氏が、今回のサリンジャーの死に際し、これまた映画評論などで活躍する論客・ウエイン町山こと町山智浩氏によってボッコボコ(苦笑)。




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http://d.hatena.ne.jp/TomoMachi/20100129

唐沢俊一は2008年に「ライ麦畑」について「月刊ほんとうに怖い童話」(ぶんか社)にこんな記事を書いているが、どう考えても実際に本を読んでいない。



ビートルズの元メンバーであるジョン・レノンを殺したマーク・チャップマンレーガン元大統領を暗殺しようとしたジョン・ヒンクリーなど、殺人犯たちの多くが愛読書にしていたのが、ジョン・サリンジャーの青春小説『ライ麦畑でつかまえて』である。


>ある日、突然大学生活がバカバカしくなり、テストの答案を白紙で出して退学になった主人公ホールデン・コーンフィールド。


>なぜ彼は学校を飛び出したのか。なぜ彼は社会に対して、凄まじい疎外感を抱くのか。


>1950年代、繁栄の絶頂にあったはずのアメリカに生まれたが、人生に目標を失い、生きていく希望を持てなくなった世代、


>すなわちロスト・ゼネレーションたちにより、この本は“自分たちのことを書いた本だ!”という熱狂的な支持を受けた。


>自分たちが何をしようと、どうせこの世の中は変わりはしない。ならば、せめて人を殺すこと、有名人を殺すことで、この世界に、
なんらかの足跡を残しておきたい……。ニヒリズムの極致のようなこの思想が、この本の中には秘められているという。


>事実、アメリカのいくつかの州では、この『ライ麦畑でつかまえて』は未成年が読むことを禁じられている悪書である。


ぶんか社『月刊ほんとうに怖い童話』 2008 年 7 月号



赤字部分はすべて間違いだが、問題は間違いではなくて明らかに「ライ麦畑」を読まないで論じていることだ。


実際に本を読んでいればホールデンが大学に行っていると思うはずがない。


間違いの指摘と訂正は以下のサイトを参照↓(ご苦労さんです)


http://d.hatena.ne.jp/kensyouhan/20081011


http://tondemonai2.web.fc2.com/507.html



アメリカの公立学校の図書館にこの本が入らなかった最大の理由は文中にFUCKという単語が登場するからである(主人公はその言葉を汚らわしいものとしている)。


「人を殺すこと、有名人を殺すことで、この世界になんらかの足跡を残しておきたい……。ニヒリズムの極致のようなこの思想が、この本の中には秘められているという」……って、誰も言ってないよ!



>主人公ホールデンは、麦畑で遊ぶ子供たちを見て、あの子たちが崖から落ちたら、下にいて、その落ちてくる子供たちを受け止めたい、という奇妙な想像をするのだ。


>すべての子供たちが、自分のように目的を見失う前に、それを救ってあげたい。ホールデンの本当の悲劇は、そんな、前向きな考えを持っているのに、それを実行に移す方法を知らないということだろう。作者は、そういう主人公のようになる前に、社会に目的を見いだすように、と読者に訴えかけているのだ。



そんな本、読みたくねえよ。


どこをどう読んだらサリンジャーが「社会に目的を見出すように」なんて矯正院みたいなこと訴えてると思えるんだ?


ていうか、逆だろ?


ライ麦畑で遊ぶ子供たちは汚れないイノセントを意味して、そこから落ちることは世の中で純粋さを失うことを意味してるんだから。


唐沢、お前、絶対読んでないだろ?


読まないでこんなデマカセを書くことは許されないし、


もし、読んでてこんなこと書いてるようなら、頭が悪すぎる。




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うーん確かにひどすぎる。


これは唐沢さん何を批判されてもしょうがないでしょうね。


読んでたら絶対こんな記事書けっこないんだから。


そしてご丁寧に、町山氏はなぜここまで唐沢氏を糾弾したかまで本日付で書いているのだ。




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http://d.hatena.ne.jp/TomoMachi/20100130



昨日の日記に関して「サリンジャーが亡くなった日にあんな記事を書かないでほしかった」などのご意見をもらいましたので、


なぜ、書いたのか説明します。



唐沢俊一は誰か有名人が亡くなると必ずその追悼文をブログに発表します。


本当にもう、誰かが亡くなると必ず書くので、後に単行本化する、もしくは追悼文作家として売り込もうとしているのかもしれません。


しかし、その内容がどれもひどい。


その故人の生前の仕事をろくに知らないのにウィキペディアを要約して、なぜか必ず皮肉な口調で冷笑するというパターンを取っています。


今回もまた、サリンジャーについてデタラメなことを書かれるかと思うと我慢できなかったので、


唐沢が書く前に「お前、読んでないだろ」と釘を刺しておいたのです。


たとえば、加藤和彦さんが亡くなった翌日に唐沢はブログに以下の文章を書いています。



http://www.tobunken.com/diary/diary20091017153024.html



>多才な人というのは愛情もまた、その向うところを多岐にわたらせる。


>『サディスティック・ミカ・バンド』のボーカル、福井ミカと75年に離婚。77年に安井かずみと再婚するが、94年に死別。97年にオペラ歌手中丸三千絵と入籍したが、00年2月に離婚。


>いずれも飛んでる女性ばかりで、プロデューサー気質の人間は女性を、その女性性より才能の面において認め、惚れ込むのではないかと思う。


>晩年は木村カエラを売りだすためにミカバンドを再結成するなど、かなり頑張っていたようだ。


>あ、惚れたな、と聞いていてもわかった。


>……それが自殺に結びついた原因でなければいいが、と思ってしまう。



この文で唐沢は「加藤和彦さんは木村カエラに恋愛したが、それが受け入れらなかったために原因で自殺した」と憶測していますが、


その根拠は、木村カエラのミカバンドを聞いて「あ、惚れたな」とわかったからだそうです。


で、唐沢によると木村カエラ加藤和彦によって「売り出された」そうです。



加藤和彦さんの死に関して、こんなにゲスなコメントは見たことがありません。


サリンジャーについて、唐沢にまた故人を貶める追悼文を書かせたくなくて、昨日のような日記になった次第です。



また、忌野清志郎さんの死については、唐沢俊一は以下のようなことを言っています。


http://www.shakaihakun.com/vol089/06.html



>しかし、清志郎、ガン治療に西洋医学での治療法を拒否して、途中までマクロビオティックと漢方の民間療法で克服しようとしていたんだって。 (中略)


>治るわけねえじゃん(笑)。玄米食うだけでガンが治るんだったら誰も苦労しないよ。


>ありゃ、玄米だけ食って栄養失調になればガンに回る栄養もなくなって、進行が少し遅くなる、くらいのもんでね。ただ、体制であるところの西洋医療を拒否して、自分のやり方を貫いたという意味では、ロッカーの死に方として天晴れだと思いたい。



ここで唐沢俊一は褒め殺し的に、清志郎の死は自業自得と嘲笑している。


本当にひどすぎる。




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まあちょっと、文筆家としての唐沢俊一は事実上殺されつつあるんだなあと実感し、寂しくなりますね。たとえ、それがまさに「自業自得」だったとしても。


さらに唐沢俊一を糾弾するサイトもあって。
これはもう語るにしのびない。
紹介するまでにとどめておきたい。
(あまりに粘着質で少々引くとこもあるけどね・苦笑)


http://d.hatena.ne.jp/kensyouhan/



「立派な王国が色あせていくのは、二流の共和国が崩壊する時よりずっと物哀しい」(「駄目になった王国」村上春樹


ではではまた−。