「坂の上の雲」そして「青春少年マガジン」について。

今やってる大河ドラマ天地人」は11月半ばで終わり、年内残りの大河ドラマ枠は、あの故・司馬遼太郎氏の最高傑作「坂の上の雲」をやるんだそうで。

http://www.nhk.or.jp/matsuyama/sakanoue/

【第1部】総合テレビ 午後8時〜9時30分
 11月29日(日)  第1回「少年の国」
 12月 6日(日) 第2回「青 雲」
 12月13日(日) 第3回「国家鳴動」
 12月20日(日) 第4回「日清開戦」
 12月27日(日) 第5回「留学生」
【第2部:第6回〜第9回】
 2010年 秋
【第3部:第10回〜第13回】
 2011年 秋 (全13回)


1時間半のドラマを全13回ですから、なかなか気合い入ってますね(もっとも全部合わせると通常の大河ドラマの総放送時間より短くなっちゃうんだけど^^;)。



で、その第2部に当たる正岡子規の死の場面をもう撮り終えてるんだそうな。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20090116-00000013-oric-ent


>俳優・香川照之らが16日(金)、東京・調布のスタジオでNHKスペシャルドラマ『坂の上の雲』の2010年秋放送予定の主人公・正岡子規の最期のシーンなどを撮影。5か月で15キロ以上の減量を行った正岡子規役の香川は苦悩の日々について、漫画『あしたのジョー』を引き合いに出し「2階級ぐらい体重が落ちた」と話し、妹・律役の菅野美穂も「背中をさする演技で骨が浮いてることがわかり、胸のつまる思いでした」と感想を語った。


>台本を読んで「苦しさを経験しないと子規に追いつけない」と、並々ならぬ思いで撮影に臨んだという香川は、昨夏の松山ロケ以降、食事制限やランニングなどをして減量を実行。「普通のドラマや映画と違い、長いスパンでやれるからこの役作りができた。まさに役者冥利に尽きますね」と時折、目を潤ませながら語り、最後には同郷の海軍軍人役を演じ同世代の本木雅弘に「月並みですが、頑張ってくださいね」と静かにエールを送った。



正岡子規は「歌詠みに与ふる書」で日本中の歌壇に衝撃を与え「子規とは何者か」と世の歌人達を騒然とさせた人物だが、その頃の彼自身は結核脊椎カリエスに冒され、自宅の寝間から一歩も出ることが出来なかった。
喀血と激痛に苦しみ、食事も妹の介護を借りねば出来ないほどに衰弱しながら、その実、執筆では全くそのことを感じさせない激しさで短歌・俳句の近代化を訴え、34歳の若さで亡くなるまでに高浜虚子ら多くの後進を育てた。


http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%AD%A3%E5%B2%A1%E5%AD%90%E8%A6%8F


>歩行不能になった後も折々は人力車で外出もしていたが、明治32年(1899年)夏頃以後は座ることさえ困難になった。この頃から子規は約3年間ほぼ寝たきりで、寝返りも打てないほどの苦痛を麻痺剤で和らげながら、俳句・短歌・随筆を書き続け(一部は口述)、また病床を訪れた高浜虚子河東碧梧桐伊藤左千夫長塚節ら後進の指導をし続けた。



で、そんな我が身を削って創作に打ち込み、結果命を落としていった若者は何も百年前にさかのぼらなくとも、僕らの少年時代読んでいたマンガの世界にもいた。

小林まことの「青春少年マガジン1978〜1983」が単行本になったのでまとめ読みした。
小林まことといえば「1・2の三四郎」「柔道部物語」などの作品でなじみ深い漫画家であり、特に「三四郎」は僕の中学時代半ばから高校時代の終わりに連載され、その最終回が僕の高校卒業→大学入学に重なっているのでとりわけ思い出深い作品である。
その小林が「三四郎」連載開始時まだ20歳だったことには驚かされる。昭和33年生まれなのですね、彼は。
そして、小林と同時期に同世代としてマガジンで活躍した漫画家に「タフネス大地」の大和田夏希や「初恋物語」(原作・梶原一騎)の小野新二らがいる。
三四郎」を立ち読みする際には決まって「大地」や「初恋」もチェックしたものだ。


今、彼らがどうしているか。大和田も小野も故人である。
大和田は自殺で、小野は肝臓病で90年代半ばでこの世を去った。
いずれも多作と過密な締切に追われての過酷な漫画家生活による壮絶な戦死を遂げたのだ。


小林まことの作品だから、基調はあくまでギャグである。
しかしその実、その労苦に報いられることなく戦死していった同志への哀惜がその筆致には満ちている。


僕らが彼らに報いるのは、その作品を真剣に読み己の糧にすることしかないのだろう、おそらく。
(まあとてもそんな労苦に満ちているとは思えない作品もあるけどね^^;)



ちなみに「青春少年マガジン」の表紙カバーを外すと、当時の「三四郎」休載お詫びの挨拶が載っていて、これが無茶苦茶懐かしい(^^)。あったなあこれ! 
当時を知る人には是非見ていただきたい一冊です。
ではではまた・・・。




PS・ところで僕は小林まことの作品はどれも基本的に好きだけど、「三四郎2」だけはどうにも馴染めません。あるレスラーへの悪口に満ちているので・・・読んだ人なら分かるでしょ(^^;;;)。