ある意味前回の続き、小学館マンガの凋落を思う。

昨日、ふと気づいた。
「ああ、自分が読みたいマンガは今、小学館系に一つも無いんだな」
ということに。

高橋留美子犬夜叉」は途中で読むのをやめてしまった。
島本和彦アオイホノオ」はヤングサンデー休刊で消えてしまう。
安永航一郎小学館を離れて久しく。
久米田康治小学館叩き出されて移籍したマガジンで「さよなら絶望先生」ブレイクさせ。
花沢健吾はヤンサン廃刊のあおりを受けて「ボーイズ・オン・ザ・ラン」むりやり終わらせられ。

というわけで、今、小学館系で読みたいマンガはない! ないです!!
・・・サンデー&スピリッツ全盛期(80年代)にはあれほど小学館系読みふけってたのになあ。


小学館といえば、先だって「金色のガッシュ!」の雷句誠が編集者に原稿を紛失された件で提訴した件が耳に新しい。

その雷句誠のインタビュー。

http://gigazine.net/index.php?/news/comments/20080620_raiku/


G:
陳述書の方を読むと5代目の人について「そのうち、電話も会話が終わると、自分にわかるように受話器を叩き付ける様に切る」とあるのですが、こういうのは社員教育とかで「やっちゃいけないこと」だというようにして習うというか、ある意味常識だと思うのですが…。

雷句:
そう言う細かいところでねちねちと、なんというか、あからさまに喧嘩を売ったら問題になるじゃないですか、だからそういう細かいところでやってるのかな、と。あまり細かいところでこっちも言っていたら「雷句誠は細かいところでぐちぐち言うヤツだ」みたいに言われるのもいやだったので、別に何も言わなかったのですが、もう受話器をこちらにわかるようにガチャンと切るので、最後の方は会話が終わったらもうすぐにボタンを押してました。すっと回線を切るというか。もうストレスが…もう怒るのはやめようと思ってて、いくら向こうが変な態度を取っていても相手をするだけ無駄だと。

雷句:
誤植した部分を指摘したらにらみつけてきたりだとかそういう態度を取ったりとか、できれば仕事をさぼろうとする姿を見ていると、本当に不安になってくるんですよ、しっかり管理しているのか?と…。そして、サンデーにおける連載が終わるということで最後の原稿を渡した2007年11月末に言いました、そちらに渡してある原稿をすべて返してください、と。白黒原稿はコミックスが出たら半年ぐらいで返してくれるんです。確実に定期的に返してくれるんですね。でもカラー原稿は広告だとかに二次使用、三次使用するので小学館の方に預けてあったわけです。だから手元ではなく小学館預かりにカラー原稿はすべてなっていたわけです。そうしたら最悪の予想が当たって「なくなった原稿があります」、と…。


そして、雷句に呼応したかのように小学館批判をぶち上げた「快感フレーズ」(なんちゅう題名だ・苦笑)新條まゆのブログより。
ちょっと長文になるが、あえて。

http://blog.mayutan.com/archives/51397618.html

>ある時、
「こういう話はもう描きたくない。この連載は違う方向で描いて行きたい」
と相談したところ、
「だったら、この連載は終わり。次はこの雑誌に移って」
と編集長に言われ、
その場は担当編集者も含めてのお食事の席だったのですが
「じゃあ、後は担当と話して」
と編集長は帰ってしまいました。
「ああ・・・長年この雑誌のために仕事して来て、曲がりなりにも
すこしは貢献出来たと思えるだけの成果をあげてきたのに、
最後は感謝の言葉もなく、こんな形で終わるのか・・・」と
頭が真っ白になりました。
自分の13年間って、いったいなんだったんだろうと。
そして、次に移れと指定された雑誌は、
「それまで」の新條まゆと何ら変わらないものを求められる雑誌で・・・
こういう時に言葉を選んでいてもどうかと思うのではっきりいいますが
もう、Hな漫画は描きたくなかったのです。
それはその時思っていたことではなくて、
快感フレーズ』を描き上げた後からずっと思っていたことでした。
が、一つの流れを作ってしまった自分が自分の首を絞めてしまったわけですが
当時はその流れに逆らうことが許されませんでした。
そして、今まで通りの新條まゆを求める雑誌には行きたくなかった。

>悩んで、悩んで、小学館を離れる決心をしました。
それを担当に告げると、
「だったら、いままでの出版物を全部絶版にする!」と言うので、
驚いて、「脅すんですか?」と言ったところ
「脅してるのはそっちでしょ!!」と言われてしまいました。
この辺りから、弁護士に相談するようになりました。
作家一人と大企業。
どう丸め込まれても、どんなウワサを広げられても一人では太刀打ち出来ません。
おまけに「頭がおかしくなってる」と言われ、むりやり連載を1回休まされました。
わたしは猛烈に反対しました。
楽しみにしているファンに申し訳ないと。
しかし、結果、休むことに。
が、休ませた本人はなんと、雑誌に休む旨の予告を入れなかったのです。
結果、まるで原稿を落としたかのような扱いに・・・
それだけならいいです。が、私の漫画が見たくて買ったファンの子は
どうするのかと落ち込みました。
大人にとって200円ちょっとなんて、はしたお金かもしれませんが
子供たちにとっては大事なお金です。
それを無駄にさせてしまった子がいるかと思うと、本当に胸が痛くて。
あの時、もっと反抗して、休まなければよかったと悔やみました。
そんな時、当時、小学館に出入りしていたうちのスタッフが
ある話を耳にします。それは、編集部の一人が
新條まゆが連載を休んだのは、休ませないと移籍すると脅したからだ」
と発言したものです。
週2回の少女雑誌は現在3誌ありますが、お休みがもらえないのは
小学館の雑誌のみです。不定期連載もさせてもらえません。
休みたいと思っているボロボロな作家はたくさんいます。
そこに、わたしが休んでしまった。
他の作家たちから不満が出てもおかしくはありません。
私が脅したといえば、他の作家たちも納得するのでしょう。
が、話はおかしな方向に行きます。
内部事情を暴露したと、うちのスタッフを出入り禁止にしてしまったのです。
うちのスタッフといっても、わたし専属ではなく、いろんなところで
デザインのお仕事を抱えている方だったのですが、
小学館はやめさせてしまいました。
おまけに、そのスタッフがわたしを洗脳してると言い出す始末。
自分たちが言って来たこと、やって来たことを顧みない行為に
私は完全に編集部への信頼を失ってしまい
移籍する決意を新たにしました。
ここへ来て、やっと新條が本気だと言うことがわかったらしく
慌てて大規模なお食事会がセッティングされ、お偉いさんも集まりました。
そこでそのときの自分の気持ちを正直に伝えました。
これからやって行きたいこと。描いてみたいお話。雑誌。
しかし、小学館の少女漫画雑誌の一番偉い方には
「甘ったれるんじゃない!」と言われてしまったのです。
やりたいことを伝えて何が悪いんでしょう。描きたいものも描けずに
求められるものだけ描いてればいいと言うことでしょうか。



そして真打ち(笑)。久米田康治さよなら絶望先生」の最新話。

http://nyontaka.exblog.jp/8115937/

>急に場面転換。大雨が降ってきて大洪水に。みんながアップアップしている中、なぜか可符香ちゃんだけが船(ノアの箱舟!?)に乗っています。
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可符香「愚かな人類に神がお怒りになり 大洪水を引き起こしました!」 
望「何その超展開!?」
可符香「後世に文化を伝えるために 箱舟に各業者の方々を乗せるのです! 文化人の方および 自称文化人の方どんどん乗ってください!」 
作者「漫画家の私を乗せてください!」 
編集者「編集者の私を乗せてください!」 
可符香「すいませんもう定員なんでどっちか1人しか乗せられません」
作者「漫画家がいなければ漫画が描けません!」 
編集者「編集者がいなければ本が出せません!」 
可符香「どっち乗せるぅ?」 
あびる「中学生に聞いてみたら?」 
中学生「マンガ読むヒマあったらケータイかネットっしょ」
可符香「これで規定重量です(Macとと携帯電話を乗せて)さよーなら――! 来世で!!」
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漫画の世界で愚かな振舞いをしていた(漫画に関係する)人類が神の怒りに触れ、滅びようとしています。洪水まで引き起こした!?漫画家と編集者の争いの決着を、この段になってようやく読者につけてもらおうとします。ところが、その肝心の読者になるはずの中学生は、漫画には興味なし、と……。……あかんがな……滅びてもやむなしか。


(5)はるか未来、漫画の滅びた世界で(12頁)
時は過ぎ、2万年後:
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望の子孫?「これは極東の地で発掘された化石で マンガというものです」 
可符香の子孫?「ふーん それって面白いの?」
望の子孫?「んー・・・ヤングサンデーってのは 面白かったらしいですよ」 
2人の後ろにある絵の中の1つに「ムカシの狩りのヨウス」というタイトルの絵の中にいる千里が:
千里「当時の人々の暮らしアツカイカヨ」




そんな、ライバル誌であからさまに(苦笑)。
しかしまあここまで非難され、皮肉られる小学館というのもどうなんだ。

80年代オタク文化の発信源となり得ていたサンデー&スピリッツ全盛時の小学館を悼んで。合掌。