ゴッチ残照。

昨日のゴッチさんに関して書いた文章はかなり評判が良かったようだ。皆様有り難うございます。
すでに書くべきことは書いた観もあるのだけど、思いつくことを三つほど。



前田日明がやたら葉巻にこだわる一面を見せているが、これはゴッチの影響もあるのではなかろうか。ゴッチの葉巻好きはちょっと有名であり、80年代にはインタビューで葉巻と焼酎好きについて触れられ「葉巻は肺まで吸い込まないし、焼酎は朝まで残らないんだ」と弁解するお茶目な側面を持っていた(笑)。



・ウイキペデイアのゴッチに関する記述は気になるところが多い。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%AB%E3%83%BC%E3%83%AB%E3%83%BB%E3%82%B4%E3%83%83%E3%83%81
>ゴッチがルー・テーズの保持するNWA世界ヘビー級王座に6回目の挑戦をした試合(1964年5月2日、ミシガン州デトロイト)において、ゴッチはテーズからバックドロップを仕掛けられた時に、自分の体重をテーズにあずけ、テーズの肋骨5本を骨折させた。テーズはダブル・リストロックで試合には勝ったものの、この骨折から回復するのに7ヵ月間かかり、特に骨折直後の2ヵ月間は、後に人生で最悪の時間であったと語るほど苦しんだ。
とあるのだけど、テーズがこの試合で勝ったのはダブルリストロック(チキンウイングアームロック)ではなく、ドロップキックで場外に蹴り落としてのリングアウト勝ちではなかったかと記憶している(流智美氏の記述によればだけど)。
ちなみにこの試合、テーズの途中負傷により両者が示し合わせて試合を終わらせたのではないかと僕は勝手に推測している。つまりは早すぎた前田対藤波ですね(笑)。当時の二人の位置関係からいって、ゴッチがテーズにシュートを仕掛けられるはずもないと思うのだが、どんなもんか。


さらにウイキの気になる部分。
>ゴッチはレスリングをするために筋肉増強剤は有害であると考えており、ケン・シャムロックが筋肉増強剤を使用していると批判している。パンクラスがゴッチの批判を無視してケン・シャムロックを重用したため、ゴッチはパンクラスと決別したと言われている。
グレコ特有のロックアップしてからの展開を基本としていたため、自ら飛び込んでの片足タックルを全く教えなかった。ゴッチの技術体系では現在の総合格闘技に対応できないことは明らかであり、パンクラスがゴッチから訣別した一因ともなっている。
などと書いてあるのだけど、ゴッチがパンクラスと決別したという明確な事実はないのではないか?「紙のプロレス」のパンクラス読本「矛」「盾」においてゴッチはパンクラスがシャムロックを重用していることに苦言を呈してはいるが、それによってパンクラスと決別した、などということは一言も書いてなかったはず。
またタックル云々については、「1976年のアントニオ猪木」によってゴッチー猪木ラインのタックル技術の不足が明示されたがゆえの記述と思われ、実際にそれを理由にパンクラスがゴッチと決別したなどという事実はないはずである。
どうもこのあたりウイキの記述は勝手な推測によるものが多い気がする(お前もだろ、と言われるかもしれないが、わたしゃきちんと「勝手に推測する」とか書いてますからね・苦笑)。



・ゴッチさんが晩年エラ夫人の遺骨を持ち歩いており、亡くなるときも「遺骨を一緒に海に流してほしい」と言ったとのことが一部で報じられていた。十代で出会い、結婚後は世界各地をともに放浪して労苦をともにした夫人と、ゴッチさんは死後もともに旅したいとの気持ちを示したのだろう。ゴッチ夫妻は世界の海を渡る最後にして永遠の旅に出たのだ。
最後の武芸者(自らの「武」を芸として後進に分け与えたこの人には「武道家」より「武芸者」の名がふさわしい気がする)カール・ゴッチに、万感の思いを込めて。


「さようなら。向こうでお会いできることを祈っています」


PS・ちなみに僕自身は85年に第1次UWFの下関体育館大会でゴッチさんにお会いしています。握手してくれた手が大きく温かかったのを覚えている・・・。


再PS・ゴッチ散骨について追記。
    http://www.daily.co.jp/ring/2007/08/04/0000511360.shtml
    >遺骨は妻エラさんの遺骨とともに今週末か週明けにも北タンパの湖に散骨される予定。
    湖かあ・・・そこは海にだろう西村・・・遺言にあったのかもしれんが、どうもなあ・・・(勝手な考え^^;)。



再々PS・「湖に散骨」はやはり故人の遺志であられたか。

http://kakutolog.cocolog-nifty.com/kakuto/2007/08/post_6ff8.html

藤原組長のお言葉ならもはや間違いはあるまい。ただただ合掌。




さらに追加。
週刊プロレスの8月29日号のジョー・マレンコインタビュー見ると、やはり海に流すのが遺言だったんじゃん!! もう知らん(怒)。