60回目の憲法記念日に。

今回はかなり固い話です。すみません(^^;)。


昨今は憲法改正云々についての論議が盛んになされていて、まあ論議するのは良いことなんですが、先日街頭インタビューで気になる光景が。
改憲か護憲か」で「改憲」を選んだ女の子がその理由を、
「やっぱりー、自分の国は自分で守れるようにしたいからー」
なんて答えてたのですね。そりゃちょっと違うだろうと(苦笑)。
「他国(まあアメリカですね要するに)にも自分の国を守ってもらうため、見返りに他国の戦争に参加するのは是か非か」という集団的自衛権について論じているはずなのに、そういう知識についてあまりにも欠けている(まあ僕もそんなに深い知識があるわけじゃないですが・苦笑)人が多いと感じてしまうのですね。そしてこんな状態で国民投票を行ってしまうことにはぼくはかなりの深い危惧を抱いているのですよ。

はっきり立場を表明してしまえば、僕は「改憲派」です。そしてなぜ改憲すべきかといえば、それは明らかに自衛隊が「戦力」であり、「違憲状態」だからです。
(昔から不思議なんですが、自民党の方々は自衛隊を「合憲」としてるのに、なぜ憲法改正を叫ぶんですかね? 合憲なら改正する必要ないはずなのに。不思議ですねえ・^^;)
違憲状態」であるのだけど、北朝鮮の脅威から言って自衛隊はどうしたって必要、そこで現実を追認する形で改憲し、その存在を明確にすべき。そして集団的自衛権についても限定つきで認めるべき。これが僕の意見です。
(9条については戦後60年の間維持されてきたことによって、日本人の反戦意識を高めたことについては大いに評価すべきだと考えます。これほど戦争の嫌いな国民は世界史上初めてだろうと思うので・笑。ただそれが未来永劫維持されるべきかどうかは別の問題。北の脅威拡大を思いあわせればやはり見直しは必要かと考えます)

しかし問題は9条を改定するにせよ、ある種の「歯止め」はどうしたって必要だということ。9条を改定し集団的自衛権を認めた段階で、米軍が「じゃあもう戦争できるんだろ?」とばかりあれやこれやの要求をしてくることは明白だからです。
(これについてはあの小林よしのりでさえ「米軍の要求を退けるためにも、拙速な改憲はまずい」と護憲派のごとき発言を最近「ゴー宣」で行っているぐらいです・笑)
その歯止めを明確に出来るのか? 米軍の不当な要求に対しての拒否権を発動出来るのか? そのあたりの説明をきちんと政府はすべきだと考えます。

さらにハッキリ言えば、僕は憲法改正は必要だと思うけど、安倍内閣任期中での成立には反対なんですよ。安倍内閣は「憲法改正すればどうなるか、改正しなければどうなるか」というシミュレーションをきちんと行い、それぞれの良い面悪い面をきちんと国民に提示し論議を深めることに徹するべきだと考えます。でないと冒頭で挙げた女の子のような短絡的な意見がどんどん出てきてしまう。
安倍総理はまずは国民への徹底した情報開示と啓蒙をしっかり行うべきであり、そのために自己の任期を費やす覚悟で臨むべき。それこそが真の愛国の士の行うべきことでしょう。
しかし、現実にはあまりにも拙速に自分の任期中での憲法改正を叫んでいる。これでは「じっちゃんの名にかけて」的な功名心の塊と思われても仕方がない。
また9条改定によって必然的に予想される中韓のここぞとばかりの非難についてもきちんと対処する手段を考えておくべき。いたずらに強硬に突っぱねるだけでは国益をかえって損ねる。これまた真の愛国者のなすべきことではないでしょう。

逆に井上ひさし氏らが国民投票について「『投票数の過半数憲法改正』でなく『全有権者数の過半数憲法改正』とすべき」としてますが、これはこれでいかがなものかと。
http://www.labornetjp.org/news/2007/1176345462791staff01

これではたとえば投票率が80%でそのうち改憲が45%護憲が35%で改憲派が勝ったとしても、全有権者数の半分いってないから改憲は出来ないということになってしまう。これは明らかにおかしいでしょう。護憲派が真に国民のことを思うなら、投票率のアップをこそ願えど、このような小細工は行うべきではない。そう僕は考えます。

ついでにいえば改憲派の中には自衛隊の名称についても「自衛軍」だの「国防軍」だのにしろという方々もいますが、これには僕は反対です。なぜなら「軍」より「隊」が伝統有る名称だから(笑)。「長州奇兵隊」や「新撰組一番隊」以来の薩長・旧幕の派閥を越えた伝統有る名称ですよ!!(笑)。戦前との区別をつけるためにも「自衛隊」の名称は変えるべきではないと思いますね。


先日、サンデーモーニング改憲派軍事アナリスト小川和久氏がこういう意味のことを言っておられました。
「右からも左からも、両方から意見を言い合って絶えず良い方向に憲法を変えていき、より良いものへ高めていく。それが憲法のあるべき姿」
改憲・護憲を超えた「論憲」。
まことにもって正しい意見。全面的に同意しますね。

この機会にしっかり最低3年は論じあった上での国民投票が実施され、そして50年に1度ぐらいの周期での定期的な憲法改正がなされていくことを個人的には願っております。


トーシロがグダグダとつまらぬ意見を申しました(苦笑)。
何とぞご笑覧のほどを。ではではまた(^^ )/