見てきました「硫黄島からの手紙」。

娘連れて実家帰ってる妻のいないうちに、休日出勤してるふりして映画観に行ってしまったので、バレないうちに早く早く。


えー、ずばりいって、良い映画でした。ただ「ミリオンダラー・ベイビー」もそうでしたが、重いですね最近のイーストウッド映画は。
上映直後に頭に来たのが、映画が始まったのにとなりに座ってたジジイが寝てやがったこと。硫黄島に栗林中将閣下が着任された場面でつついて起こしてやりました。感謝しやがれジジイ。
栗林忠道という軍人の凄さは、小学校時代に山岡荘八氏が書いた太平洋戦史を読んで以来熟知していたつもりですが、改めて渡辺謙の名演技で見せつけられるとやはり唸らされるものがありました。
それにしても渡辺謙は完全に戦後最大の国際派日本人スターになりましたね。松田優作の見た夢はある意味ケン・ワタナベによって実現されたのかも。
栗林と同じく理想的な軍人として描かれているのがバロン西こと西竹一ですが、こちらも伊原剛志がかなり上手く演じていました。もっとも米軍が馬術の金メダリストとしての西を惜しんで投降勧告したが西はこれに応じなかった、というエピソードは全体のバランスを考えてか惜しくも割愛されています。
主役格の二宮和也(「かずや」でなく「かずなり」なんですね。エンドロールで初めて知りました^^;)もよく頑張ってましたが、ちょっとびっくりしたのが二宮の奥さん役で裕木奈江が出てること。なっつかしー。地味ですがなかなか可憐な奥さんぶりでした(^^)。
イーストウッドの凄いとこは、捕虜に対する米軍の虐殺行為もきちんと描いていること。立場が逆だったら、日本人の監督はこれ描けただろうか。脱帽です。
ラスト間際での、瀕死の栗林と主役のやりとりに泣けた。栗林さん、あんたが守ろうとした日本は60年を経た今どこにもないんですよ、とつぶやいてしまいそうになったのはあまりに感傷的でしょうかね。
エンドロールの後に※※が※※※のとこに※※場面があるのかと思いましたが、残念ながらありませんでした。それを描くとちょっと全体のトーンが甘くなってしまうからですかね。あくまで厳しいイーストウッド映画でした。
とにかく掛け値なしに名画でした。帰りにパンフレット買おうとしたら、すでに売り切れていたのがその証拠。残念でしたが納得でもありました。
ちなみに映画冒頭で寝てやがったジジイが、エンドロールであくびしてやがったので、ぶった斬って英霊に捧げようと思いましたが、刀の汚れなのでやめました(怒)。敵国出身の監督の方が、戦没者への敬意をよっぽど分かってるじゃないか。戦争に負けるわけだなあ(慨嘆)。

ともあれ、イーストウッドの懐の深さと歴史への敬意に感動させられた名画でした。これをクリスマスイブに鑑賞できたことはこの年末の大きな成果。声を大にして皆様にもお勧めしたく思います。鬼嫁の目を気にしてるようじゃ、英霊に申し訳ないなあ。俺は世界一の名画を見に行ったんじゃ、文句があるか、ヨッシャオラアアアアア!!


うわ、妻が帰ってき