旅は続くよ、どこまでも

50mの海岸線

ミヤ(仮名)です。聖地めぐり(神戸編)その2です。


フリスビー遊び(しつこいようですが嘘!)に満足した私は市営バスに乗り三宮駅へ。どうやらここはアクセスの要所らしい。地方都市然とした街並み、やや広い道路が新神戸駅へと向かっている。
「待ってろよJ's Bar」
などと独り言をつぶやき、次のスポットへ。

電車とバスを乗り継ぎ到着したのは、ちっぽけな灯台。不法侵入スレスレの場所も潜り抜けた。今にして思うと、ここでようやく私の中のハルキストの血が目覚め始めたように思う。
木造りの古ぼけた灯台。よく見ると上部にはライトが埋め込まれ使用可能な状況のようだ。江戸時代は和ろうそくを灯し活躍していたのだろうが、今は21世紀、それに昼間なので沈黙している。はとの群れに囲まれ感動にふけった頃、人間のお客が現れる。残念な気持ちを後に残しつつ移動。
そこから暫らく徒歩がつづく。幾つかの造り酒屋、住宅街を抜け、歩き続ける。やがて見えてきた高い堤防。作りつけてある階段を登り、てっぺんから海側を見下ろすと、香櫨園浜。
広い砂地の公園、ただ広く、松の防風林以外なにもない。海の向こうには場違いなくらい近代的なマンション。平日の昼間だが思いのほか人は多い。もっとも大半はゴルフ練習の男性、妙な場所だ。
砂地に足元を取られつつ、公園をぬける。
バス通りのひたすら長い一本道を歩き続け、向かった先は芦屋川の下流の洲。冬にもかかわらず汗ばんでくる。汗をぬぐい、堤防を上がる。海からの風が吹きつけ、収まるとふいに景色が変わっていた。
防波堤に囲まれた僅かな海岸線。穏やかな波と冬なのに暖かな潮風。母親に連れられた姉妹は遊び、黒いレトリバーがはしゃぎ跳ね回る。
目にした瞬間、ふいに言いようの無い気持ちが沸き起こった。一瞬、騒音は消え、目に映る光景だけがゆっくりと流れてゆく。
しかしそれもほんの僅かの間だったような気もする。波の音にふと我に返り、50mの海岸線をゆっくり歩いた後、川沿いに阪神線の駅をめざす。


おそらく続きます。