切通理作氏『宮崎駿の〈世界〉』を讃える。

同年代のライター、切通理作さんの新刊『宮崎駿の〈世界〉』がちくま文庫から出ましたのでここに絶賛させていただきます。


http://www.bk1.jp/product/3040752


切通さんのブログにも載ってます(当たり前ですが・笑)ので、サボってこちらも引用(^^)。


http://d.hatena.ne.jp/PaPeRo/20081009


>本書は2001年7月、宮崎駿監督『千と千尋の神隠し』の公開と同時に出版された、ちくま新書の『宮崎駿の<世界>』を大幅に加筆したものです。

>その後に公開された『ハウルの動く城』と、この夏から秋、そして冬にかけていまだ大ヒット公開中である『崖の上のポニョ』、そして三鷹の森ジブリ美術館およびそこで上映される短編の宮崎駿監督作品すべてについて新たに書き起こしています。それだけでも本一冊の分量はある書き下ろしになりました。

>そして、葛飾北斎と並び称された『崖の上のポニョ』の圧倒的な波の表現が、宮崎駿の初期作品から脈々と流れる、「水」という目に見えないものへの取り組みの積み重ねだったという視点に立ち、前半の旧稿部分も全編に渡って書き直しを行っています。

>新書版から文庫版までの七年間に、以前は公表されていなかった資料や証言で新しくわかった事実も可能な限り盛り込みました。

>加えて、巻末の養老孟司さんとの対談では、近年の宮崎作品に対してともすれば囁かれがちな「作画はすごいが、ハリウッド的な起承転結に当てはまらない。ゆえに完成度は低い」という俗評を根本からひっくり返し、世界に誇れる真の普遍性とは何かを浮き彫りにしています。 

>加筆部分だけで二〇〇ページを越え、総ぺージ数は六二〇ページの大冊となりました。




昨日購入して、今朝620ページ一気読み!!
いや素晴らしい内容で感嘆いたしましたよ!!


とにかく東映動画時代から『ポニョ』に至るまでの全作品を網羅した考察ぶりの凄まじさ。
特に『未来少年コナン』(これ舞台が2008年なのですねえ)に至っては全話のストーリーを逐一紹介して検証を加える丁寧さには感嘆を通り越して畏怖を覚えるほどです(^^;)。
もちろん『ナウシカ』『ラピュタ』『トトロ』『魔女宅』『紅の豚』『もののけ姫』『カリオストロの城』『(新)ルパン三世145話(アルバトロス)・155話(さらば愛しき)』『ホームズ』『千と千尋』『ハウル』などの他作品の検証・考察も綿密になされています。


もはやこれを持たねば宮崎フアンとは言えないほどのバイブルとなるのではないでしょうか。いやマジに。


何といっても「あとがき」ですら20ページ近くありますから(笑)。
前述の引用部分にある養老孟司氏との対談&川本三郎氏の解説も読みごたえあり。
切通さんのちくま文庫登場は初めてのようですが、まさに「満を持しての初登場」といえるのではないでしょうか。


僕は切通さんと同い年なのですが(学年は切通さんが一つ上)、まさに僕らの世代の代表選手として、宮崎さんに最高のエールを贈った作品と言えるでしょう。
文庫本としてはやや高い1100円ですが、それだけの価値は十分にあり。全身全霊をもってオススメさせていただきます。



しかし困ったことに、ワタシはまだ『ポニョ』を見ていないのですが、この本のために結末を知ってしまったではないですか(苦笑)。
まあワタシはネタばれしても「現物はどんなかな」と逆に興味を持つタイプの人間なので、まあいいですが(笑)。出来れば今日見に行きたいと思っています、ハイ(^^)。


むしろ「ああ、ここ読んでしまえば結末分かってしまううう」と思っていながらも読むことをやめられない(笑)。そういう魅力に富んだ本であることを強調しておきたいと思います。



「昔から伝えられた物語というのはみんな、はじまる前までの物語なんですよ。ほんとの人生というのはメデタシメデタシの後からはじまってくんですね。・・・」
巻頭と第七章最後に掲げられたこの宮崎駿の言葉には感動的な続きがあります。それは皆様、書店でお確かめくださいませ(^−^)。


ではではまた。



PS・畏敬するメモ8さん&グリフオンさんのとこでも宮崎駿特集をなさっておられるので、こちらも紹介しておきます。宮崎作品ベスト3、選ぶとなるとどうかなあ。しばらく考えます(^^;)。

http://d.hatena.ne.jp/memo8/20081011

http://d.hatena.ne.jp/gryphon/20081011#p4