海音寺潮五郎氏のこと。

皆様は故・海音寺潮五郎さんという歴史作家をご存じですか。


しかし、書いてみると凄いペンネームですよね(苦笑)。
字面でいくと江田島平八をも抜いている感じがします(笑)。
しかしもちろんマンガのキャラクターではなく、男塾塾長でもありません(当たり前だ・笑)。
国民的作家・司馬遼太郎の才能を最初に見いだし支援した、そしてご自身も「天と地と」「平将門」などの傑作歴史小説を多数生み出した歴史小説家であります。
昨日はその海音寺氏の30回目の命日に当たっておりました。


僕が海音寺氏の名を知ったのは昭和51年の大河ドラマ風と雲と虹と」によってであります。
大河ドラマは前々年の「勝海舟」から見てたけれど、本格的にハマったのはこの「風と雲と虹と」から。
僕にとっての大河ドラマ全盛時はこの「風と雲と虹と」と翌年の司馬さん原作の「花神」でありまして、特に前者はねえ、加藤剛演じる平将門緒形拳演じる藤原純友がかっこよくてね。原作の「平将門」と「海と風と虹と」はむさぼるように読んだもんです(^^)。
これで海音寺小説にハマった僕が次に手出したのは上杉謙信主役の「天と地と」、これがまた良かった!!
通常は女性を完全拒絶するエキセントリックな武将として描かれる上杉謙信(「天と地と」では政虎時代まで)がここではひとつ年上の女性への思いに翻弄される一本気な青年として描かれてて、ラストはまさに青春小説!!といった感じでいいんだなあ、これが。


しかし真の海音寺氏の本領は小説以上に史伝であるかもしれません。
文春文庫から復刊されてる「武将列伝」「悪人列伝」の史伝ものはまさに歴史の醍醐味を伝えてくれるものがあります。
文春文庫は海音寺氏の作品を復刊させてくれてることでは定評があって、氏の「戦国風流武士 前田慶次郎」もここから出ています。そうそう、マンガ「花の慶次」で有名になった前田慶次郎利太も、彼の盟友で再来年の大河ドラマで取り上げられる直江兼続も僕は海音寺氏の史伝でその存在を知ったのです。平将門上杉謙信前田慶次郎直江兼続といった男気あふれる人物が海音寺氏はホント好きなんだなあと読むたび痛感させられるものがあります。


そして何より司馬遼太郎という才能を初めて発掘したのが海音寺氏であるということ。これはこちらのサイトでも書かれていることなのですが→


http://www5d.biglobe.ne.jp/~s-yuki/index.htm


>講談倶楽部の懸賞小説で審査員を務めていたのが海音寺潮五郎さんで、司馬遼太郎さんの『ペルシャの幻術師』を非常に高く評価します。ところが、他の審査員は畷文兵氏という方の作品を推し、ほとんど受賞が決まり書けていたところを、海音寺さんが非常な見幕で、
>「ペルシャの幻術師を落とすとは何事か!」
とねじ込んで、強引に同時受賞にもっていったのだそうです。これが司馬遼太郎さんが小説家として本格的に世に認められた最初になるわけです。


また、かの司馬さんの名作「国盗り物語」についても、ある編集者が執筆後の司馬さんに、「あれの元ネタは海音寺さんの「武将列伝」中の「斎藤道三」ですよね?」と聞いたら、司馬さんは頭をかきながら、
「海音寺さんはネタに使っても文句を言われない人ですからね」
と言ったそうな(笑)。司馬さんをして終生頭の上がらない存在と思わせていたのがまさに海音寺さんであったわけです。


そんな海音寺さんですが、しかしお弟子の司馬さんに比べるとやはり一般的認知度が低いような。是非とも文春文庫の「天と地と」もしくは「武将列伝」「戦国風流武士 前田慶次郎」読んで、海音寺さんの凄さを知って欲しいなあと。あ、石川賢のマンガで「天と地と」読むのも可です(笑)。



今日はまともな「作家紹介日記」になってしまいました(そうでもないか、最初に江田島塾長出してるし・笑)。
まあたまにはこういうのもいいでしょう。
ではではまた。



PS・しかししばらくブログ休んでる間に、「やれんのか!」とFEGの提携話、進んでるもんですなあ。もっとも実体はM−1とFEGの提携だと思うけど。
しかし青木とカルバンの対戦、谷川さんの太っ腹はもちろん賞賛すべきだけど、やっぱ勝てると踏んでるから貸し出たんでしょうなあ。あの人はやっぱ怖いよ(^^;)。