名レフリー山本小鉄なればこそ抑えきった新日テレビ中継史上最大の修羅場〜もしくはダイナマイト・キッドの悲劇の始まり。

本日、山本小鉄さん5周忌につき、当ブログ緊急再開(まあ休止していたわけでもないのですが・苦笑)。


例によって、以下駄文ツイート転載。


>本日、山本小鉄さん5周忌。「あっ、ちょっと待ってください!」の著書を持つ名解説者として知られた小鉄さんですが、プロレスラーとしてはこれまた故人となった星野勘太郎さんと組んでのヤマハ・ブラザーズで活躍し、そしてもう一つ、新日本プロレスきっての名レフリーとしても知られていたのは(続)


>言うまでもないところ。特にレフリーとしての小鉄さんはスペシャル感がありましたね。ミスター高橋さんや故・柴田勝久さんとはまた一味違う(スミマセンw)重厚感があった。場外カウントを数えるときにマイク使って「イレブン!…トゥエルブ!!…」と数えるときの重々しさと言ったらね…(続)


>「この試合は小鉄さんが裁くんだ」と知っただけでも、そのカードに特別感が加わる趣があり。その山本小鉄さんが裁いた試合の中でも最大の修羅場を今回はご紹介。83年4月21日蔵前でのNWA世界ジュニア王座戦初代タイガーマスク対ダイナマイトキッドこの両者最後の試合であります。(続)


>そもそもこの一戦、タイガーが首の負傷欠場から復帰してのNWA世界ジュニア王座決定戦、タイガーのデビュー戦から6度戦って1度反則勝ちしたのみで後は勝ち星与えて続けてきたキッドがこの7戦目にして粘りに粘り、両者フエンスアウトの後の延長に持ち込んだという展開でありました(続)


>で、動画はその延長開始からなのですが・・・https://www.youtube.com/watch?v=cLrfbRy8Q00 動画の4分20秒過ぎからキッドの行動が異様になってくる。場外でうがい用のビール瓶を鉄柱でカチ割ってそれをリング上に持ち込もうとするのです!!言っときますが、全国テレビ中継ですよ!?(続


>このキッドの奇行を「どうせストーリーのうちだろ」と思うヒトもいるかもしれない。しかしですねえ、この時の初代タイガーと言えば子供たちのスーパーヒーローですよ?そのタイガーを対戦相手が割れたビール瓶で刺そうとするなんてストーリーを誰が組むもんですかね?(組んだら組んだで・続


>それはそれで凄いですが・苦笑)僕はやはり、このキッドの奇行は試合がヒートしてしまった末のアドリブだったと取ります。キッドがホントに刺す気だったのか単なる威嚇だったのかはこれはわからない。怖いことに、この試合の頃からキッドは彼の後半生を左右してしまうステロイドを服用していた(続)


>可能性が高いのですね。この翌年に来日した時はすでに別人28号(@古館節)な体型でしたし、この動画の段階でも僧帽筋の発達が異様になってきてるし…そのステロイドの副作用で、一時的錯乱状態になってたとすれば、このキッドの奇行は相当に怖いものだと言えます(ー。−;)…さて本題の(続


>我らが小鉄さんであります。女性の悲鳴までも聞こえる大喧噪の中、キッドが割れたビール瓶を持ち込んだ時点で小鉄さんは必死にこれをロープ際で押しとどめます。おそらくは「レスリング(プロレス)だぞ、分かってんのか!」とささやきもしただろう小鉄さんに「分かってるよ!」とばかり(続)


ヘッドバットを見舞う(5分過ぎ)、この辺りはレスラーとしてのボデイランゲージと言えるでしょう。(ちなみにこの時背後から必死にビール瓶を奪おうとしてるのが「前座の力道山」荒川。いつもおちゃらけてる彼が血相を変えてるのもこの時の緊迫度を示しております・汗)そしていったん(続)


>倒れこんだ小鉄さんにキッドが割れたビール瓶を振りかざす!!場内が悲鳴で包まれたこの瞬間が、まさにプロレステレビ中継史上最大の惨事が起こりかねなかった場面であると言えます。小鉄さんの必死の形相にさすがに我に返ったか、キッドがビール瓶を捨ててようやく場内安堵するわけですが…(続


>恐ろしいのはキッドがこの後「もう一回」「もう一回」と指を立ててアピールしているのです。どうやらキッドは再度両リンかフエンスアウトで試合が終了したと思い込んでいるらしい・・・実際にはキッドの凶行(未遂)で試合が中断しただけなのですが(苦笑)。この場面だけでもこれが「ストーリー」の(続


>一環などではなかったことが分かるわけであります(汗)。試合そのものはそのままやはり両リンで終了するわけですが・・・さすがの佐山タイガーもキッドの錯乱ぶりにやや萎縮気味、きちんとしたフイニッシュを設けることなど出来なかったということでしょう。つくづくレフリーが小鉄さんで(続)


>良かった、小鉄さん以外の誰がこの修羅場を抑えることが出来たかと思わざるを得ないわけであります。・・・キッドはプロレスファンならご承知の通り、ステロイド多用の後遺症から現在車いすの生活を強いられており一昨年11月にも脳卒中であわやの状況であったりしています。小鉄さんの死去(続


>から5年、今キッドはその死を知ってて時に悼む日々を送ってるのでしょうかね。それとも知らぬまま、混濁する記憶の中で「そういえばヤマモトってのがいたな…あの時は迷惑をかけた…」と振り返ってはまた記憶の混濁に戻る、そんな日々を送ってるのでしょうかね……すべては時の流れの中に……(続)


>改めて、名レスラーにして名解説者、そして名レフリーであった山本小鉄さんに感謝とともにご冥福をお祈りいたします。そしてダイナマイト・キッドの回復と健康そして長寿をも。ではではまた。(この項了)


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小鉄さんの名より、キッドの名の方が多くなってしまったかも(苦笑)。小鉄さんスミマセン(汗)。


改めて、合掌。ではではでは。